ThinkCentre M75q Tiny Gen2・・おのずと知れたLenovoの超人気mini PCです。昨年、このモデルが世間を席捲したのは、Zen 2世代 8コア16スレッドのRyzen 7 Pro 4750GEを搭載し、CPU Markがマルチスレッドで概ね19000(現時点の数値、昨年は20000超えでした)というハイエンド機に匹敵する性能を持っているにも関わらず、最安構成で4,5万で購入できてしまう高コストパフォーマンスにあった事に理由があります。昨年中盤以降、CPUがZen 2世代のRyzen Pro 4000シリーズから、Zen 3世代のRyzen Pro 5000シリーズに移行が始まり、本年に入って本格的にRyzen Pro 5000シリーズを搭載するM75q Tiny Gen2の販売に中心が移ってきましたが、購入時にカスタマイズしてしまうと納期として3か月以上かかってしまうという問題がありました。今回、発注後最短営業日翌日発送というZen 3世代 Ryzen 5 Pro 5650GEを搭載した国内ストックモデル(構成決め打ち:8GBメモリ、256GB SSD搭載)が販売されましたので、業務で使用していたThinkpad E570をM75q Tiny Gen2にリプレースする事を決断、購入に至りました。購入したモデルの構成はこんな感じ。。
ここまで見ると、Ryzen 7 Pro 4750GE搭載のM75q Tiny Gen2を購入するよりもむしろ、Ryzen 5 Pro 5650GE搭載のM75q Tiny Gen2を購入した方が良いのではという事になりますが、グラフィクスに関しては、AMD Radeon 8グラフィクスを統合したRyzen 7 Pro 4750GEの方がAMD Radeon 7グラフィクスを統合したRyzen 5 Pro 5650GEよりも性能は上です。ゲームを M75q Tiny Gen2を使って本格的に行う・・という方はあまりいないと思いますが、少しでもゲーム性能を上げたいという場合は、選択支としてRyzen 7 Pro 4750GE搭載のM75q Tiny Gen2を購入するという場合もあるかもしれません。
次に、残念ながら、Zen 3世代 Ryzen 7 Pro 5750GEを搭載するM75q Tiny Gen2は、現状発注時、どんなにカスタマイズしても7万を下る事はなく、昨年のRyzen 7 Pro 4750GEを搭載する M75q Tiny Gen2の驚異的なコストパフォーマンスには到底及びません。ただしRyzen 7 Pro 5750GEのCPU Markは現在の所、マルチスレッドで22502と圧倒的な数値となっており、M75q Tiny Gen2シリーズの中では最強となりますので、これほどの性能がいる開発等の業務向けではかなりお買い得なモデルとなるのは間違いないでしょう。一般使用では、Ryzen 5 Pro 5650GE搭載のM75q Tiny Gen2で必要十分だと思います。
と・・言う事で、今回は、購入したRyzen 5 Pro 5650GE搭載のM75q Tiny Gen2(Memory:8GB、SSD:256GB)に関して設定上の留意事項と実機上でのpassmarkベンチ結果に関して投稿を進めていくこととします。
1.今回購入したM75q Tiny Gen2のWindows 10 Home上での留意点
筆者の場合、Lenovoの法人向けLenovo Proを経由して、M75q Tiny Gen2を購入しています。このためLenovoの一般サイトからM75q Tiny Gen2を購入した場合と比較すると、若干OS及びpre-installソフトウエアが異なる可能性があります。筆者がLenovo Pro経由で購入したM75q Tiny Gen2の設定を直にチェックして気になった部分は以下の通りです。
1)Bitlockerによる暗号化の適用
256GBの内蔵SSDは製品出荷時にBitlockerによる暗号化が施されています。したがってLinuxのインストールのため、SecureブートをOffにすると盛大に怒られますので、要注意です。無論筆者はBitlockerによる暗号化を外した上でSecureブートをOffにし、別途追加内蔵させたSATA 7mm SSDにLinux追加インストールを行っています。
2)Lenovo Commercial Vantage
Lenovo VantageはlenovoのPCユーザーなら必ず使用しているものと思いますが、Lenovo Pro経由でM75q Tiny Gen2を購入した場合、法人向け機能が追加できるLenovo Commercial Vantageがpre-installされています。基本的な箇所の使い方は一緒ですので、法人向け機能を使わない限りあまり混乱は無いものと思います。
2.無線キーボード・マウスの接続
M75q Tiny Gen2の裏側には以下のように過不足ないインタフェースが揃っています。筆者はDisplayポートを使って、モニター接続を行い、下記赤丸の箇所にそれぞれ、無線(2.4Ghz)キーボード・マウス用レシーバー(キーボードと記載した箇所へレシーバーを接続)、付属のWifi外部アンテナを取り付けています。HDMIポートを使っていない理由として、モニター側HDMIポートを、Thinkpad T480s接続で既に使用しているためなんですが。。
ちなみに使用している無線キーボード・マウスはエレコム TK-FDM109MBKです。Bluetoothキーボードは、PCのBios設定が行えないため使用していません。
上記無線キーボード・マウスはM75q Tiny Gen2で問題なく使用できています。
3.キーボード操作によるM75q Tiny Gen2の電源ON
M75q Tiny Gen2の電源ボタンが割に固いため、キーボードより、”ALT”+”p”でM75q Tiny Gen2の電源をOnにするようにしています。これはBios設定よりPower→Smart Power OnをEnabledにする事によって実現できます。Enabledに変更後F10キーを押下し、設定内容を適用、再起動させます。
本機能についてはSmart Power Onに対応したキーボードならOKとなっており、全てのキーボードでこれが出来るとは言えませんが、少なくとも筆者が使っているエレコムの無線キーボード TK-FDM109MBKでは、これが行えています。
Bios設定画面は、M75q Tiny Gen2の電源をOnにしLenovoロゴがモニターに表示されたらF1キー連打で表示されます。他ブートオーダーの変更は、F12キー連打となります。
4.Windows 10初期設定とUSBリカバリーキーの作成
再起動後、Windows 10の初期設定を指示に従って行っていきます。
USBリカバリキーの用途としては、回復不可能なWindowsの障害が発生した場合、M75q Tiny Gen2のSSDを工場出荷時の状態の内容に戻すという事にありますが、もう一つ、Windows 10 HomeがインストールされたSSDをより大容量なSSDに換装した際、USBリカバリキーを使用して、Lenovoのpre-installソフトウエアを含めてWindows 10 Homeを新しいSSDにre-installするという用途でも使用できます。USBリカバリキーの作成は以下の手順に従います。
無論一度Windows 10をインストールすれば、ライセンス認証無しで再度同じM75q Tiny Gen2に対しWindows 10のインストールは可能ですが、この場合、Lenovo Vantageをインストールして、これを使ってM75q Tiny Gen2のドライバー関連をインストールしてやる必要があります(これで概ね動作可能なM75q-Tiny-Gen2となります)。他にWindowsのバックアップ機能等を利用するという手もあります。
まずM75q Tiny Gen2の裏側、以下赤丸のネジを外します。
同様に前面に向かって裏蓋をスライドさせれば裏蓋を取り外せます。
蓋を取り付ける順番は上記の順番の逆となります(裏蓋を取り付けてから上蓋を取り付けます)。
6.M.2 NVME Gen3(2280)SSD、ヒートシンク、メモリーに関して
裏蓋を取り外すと、M.2 NVME Gen3 2280タイプのSSDと、DDR4 3200 SODIMMの交換(あるいは追加)が行えます。
裏蓋に設置メモリーやSSDが密着するのではと思えるほど余分の空間はありません。このためSSDにヒートシンクあるいはサーマルパッドを追加で装着する事は出来ないように思えます。
ただし、裏蓋には、メモリーやSSDが裏蓋にあたる(かもしれない)位置に黒いパッドが張られています。
おそらくこれらがサーマルパッドではないかと思いますので、とりあえず、追加のヒートシンクやサーマルパッドは不要という判断をしています。ただし、念のため、筆者は、SSDに関し、オリジナルのSSDと同じ片面実装タイプ500GB SSDに換装しています。
換装するSSDの仕様は、オリジナルSSDと同じM.2(2280) NVMe PCIe Gen 3ですが、熱暴走の危険性も考慮して、高速タイプのSSDは今回使用していません(ゲームはしないため普通に使える汎用型片面実装SSDにしました。このSSDがたまたま余っていたという事もあるんですが・・)。
次にメモリーについては、Crucial DDR4-3200-SODIMM 8GBx2枚が余っていたため、これらをオリジナルの8GBを取り外した上で装着しています。
次に6.の状態のM75q Tiny Gen2をひっくり返すと、2.5 inch HDDが装着できる事がわかりますが、ここには7mm厚のものが装着可です。
筆者は7mm厚のWestern Digital 2.5 inch SATA SSDを装着しています(これも余りものです(笑・・)。
2.5 inch 7mm SSDの取り付け方はインターネット上に割に出回っていますので、ここでは割愛しますが、筆者が購入したM75q Tiny Gen2ではSATAフラットケーブルが、マザーボードから外れていたため(あるいは作業中に外れたのかもしれませんが)、これを接続し直しています。
8.passmarkベンチマーク結果
最後にpassmarkベンチマークを実施したM75q Tiny Gen2の構成は以下の通りです。
M75q Tiny Gen2
・CPU:AMD Ryzen 5 Pro 5650GE(Zen 3)
・Memory: Crucial DDR4-3200-SODIMM 8GBx2(計 16GB)
・Storage
Kingston A2000 NVMe PCIe Gen 3 500GB SSD
WD Blue 3D SATA 500GB SSD
・Monitor : HP X24ih/Display port接続
・OS:Windows 10 Home 21H2 ビルド:19044.1466
passmarkベンチ結果としては以下の通りとなります。
CPU Markとして18427も出ていれば十分ですね。これは。
passmarkベンチマークは毎回数字が変わってくるため、何回かベンチマークした方が良いのですが、仕事で使う目的のマシンですので、マシン負荷をかけるテストは1回のみです(笑。
9.最後に
今回業務用PCをリプレースするにあたり、minisforumのmini PCにするか、実際に購入したZen 3バージョンのM75q Tiny Gen2にするか、それとも第12世代Intel Core搭載マシンを待った方が良いか・・散々迷いましたが、業務使用ですので、結果的にM75q Tiny Gen2にしてよかったと思っています。自分がストックしている部材でM75q Tiny Gen2のハードウエア強化が行えたため、コストは、M75q Tiny Gen2本体の購入費用(6万切り)のみで済みましたし、性能は文句なく◎。プライスパフォーマンスもかなり良かったと思います。何よりも今回発注してから家まで到着するのに1週間以内というのが更に良かったです。
既にWindows 10とLinuxのデュアルブート構成にしており、APUが新しすぎるためLinuxの挙動を心配していましたが、少なくともManjaro最新バージョンは問題なく稼働しています。カーネルが新しいですからねManjaroは。カーネルがまだ5.13シリーズのUbuntu 21.10は試していませんが、これはそのうちやってみようかと思っています。最悪は手動でのカーネルバージョンアップが必要かもしれませんけど。。
と言う事で、今年最初の投稿はここまでとします。
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