antiX 21 "Grup Yorum" 〜超軽量・軽快debianベース antiXが Debian 11 "bullseya" stableベースとなってバージョンアップ!・・最新antiX 21を検証する!
このインストール用ISOファイルは以下から入手できます。
他32bit editionや、No Xのもの(いわゆるスペシャリスト向け)等、インストールメディア作成用ISOファイルがいくつか準備されていますが、antiXはそもそも、設定がかなり難しい部類のLinuxとなりますので、antiXのインストール・設定に慣れていない場合は、32bit cpu→386-full(32bit版)を、64bit cpu→x64-full(64bit版)を使ったインストールを強くお勧めします。
カーネルは、4.9シリーズ(legacy)と5.10シリーズ双方をサポートしますが、x64-fullのISOファイルをUSB等に焼いてインストールする場合、カーネルバージョンは5.10シリーズとなります。
初期設定や日本語化残処理は以前と比べ、簡単にはなっていますが、他のDebianベースと比較するとかなり癖のある設定内容となっていますので、やはり設定の難易度は相当高くなります。兄弟分のMX-21の設定内容の方が平易で、設定ツールもantiX-21と共通のものもあるため、MX-21である程度なれてから、antiX-21のインストール・設定に入るといった流れの方が良いかもしれません。
という事で早速投稿を進めていきます。
1.概要
1)ベース:Debian 11 "bullseye" stable
2)デスクトップ環境(デフォルト):rox-iceWM
3)カーネル:カーネル5.10シリーズ
2.インストール(GPT/uefiケース)
2.1 ブートアップ事前設定
isoファイルをrufus等でUSBメモリに焼き、これを使ってブート直後に表示されるメニューにて日本語指定を行います。
"Language・・"を選択しエンターキー押下 |
↓
"lang=ja_JP:日本語 - Japanese"を選択しエンターキー押下 |
↓
”メインメニューへ戻る”を選択し、エンターキー押下 |
↓
最上位の項目”antiX-21 x64-full・・”を選択しエンターキーを押下 |
以上処理にてブートアップします。ブートアップ後のantiX-21を、日本語環境とするための最低限の処理となります。
2.2 ブートアップ後のインストール処理
筆者は、Wifiに接続した状態でインストールを行いますが、ブートアップ直後にWifi接続するために必要なConnmanインターフェースが表示されますので、この一覧に表示されるSSID(Nameの箇所)のうち、利用するものを選択して、”Connect”ボタンを押下します。
パスコード入力を促されますので、SSIDのパスコードを入力してWifi接続を完了させます。
上記設定内容は、インストール後の環境に引き継がれます(インストール後の環境では、上記設定内容で自動的にWifi接続されます)。
次にデスクトップ上の”インストール”アイコンをクリックして、インストーラーを起動し、インストールを進めていきます。
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Windowsとのデュアルブート時には、Windows側の時刻の狂いを収拾するため”システムクロックに現地時刻を使用する”にチェックを入れます |
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”完了”ボタンを押下し、再起動します |
2.初期設定と日本語化残処理の一部:antiXコントロールセンターを使用して
初期設定と日本語化残処理の大部分は、antiXコントロールセンター(以後コントロールセンターとします)を使用します。デスクトップ上でマウス右ボタンクリック→表示されたメニュー中の”コントロールセンター”を選択し、コントロールセンターを起動します。
2.1 repositoryの最適化・システムアップデート/アップグレード
Debian repositoryも国内サーバにセットされますので、このあたりは、MX-21よりも優秀です。したがってここではシステムアップデート/アップグレードのみ実施すれば良いという事になります。
repositoryは、日本語指定でインストールすると、antiX及びDebian repository双方に国内サーバが設定されますので、repository最適化の必要はありません。
Debian repositoryも国内サーバにセットされますので、このあたりは、MX-21よりも優秀です。したがってここではシステムアップデート/アップグレードのみ実施すれば良いという事になります。
コマンドでは、sudo apt update && sudo apt upgradeをターミナル起動後投入するといういつもの流れでOKですが、折角ですのでここではコントロールセンターの機能を使って行います。これはコントロールセンター→"ソフトウエア"タブ→"antiXアップデータ"アイコンをクリックするだけです。
以上でアップデート/アップグレード処理が完了します。
以上で、初期設定は完了です。上記では"Japanese Thunderbird"をインストール対象としていますが、Clows Mailでも構わない方は、Japanese Thunderbirdのインストールは不要です。
”antiX アップデータ”アイコンをクリック |
↓
ターミナルが起動し、アップデート/アップグレード処理が進行します。repositoryアップデート終了後、上記ターミナルのように”続行しますか?(Y/N)"とメッセージが出ますのでyを打ち込めば、アップグレード処理が進行します |
↓
2.2 コントロールセンターを使った日本語化残処理
コントロールセンターを使った日本語化残処理は、主に日本語指定でantiX-21をインストールしても日本語化されないアプリケーションの日本語化パッケージと日本語input method(ここではfcitx)及び日本語フォントをインストールします(正確には若干違いますが、こんな感じで押さえておくと良いと思います)。またfcitxの自動起動及び環境変数設定を行う事ができます。本2.2では、fcitx自動起動及び環境変数設定を除く日本語化残処理に関して解説していきます。fcitxの設定に関しては、3.にて説明します。
これはコントロールセンター→”ソフトウエア”タブ→”パッケージインストーラー”アイコンをクリックしてパッケージインストーラーを起動する事によって行います。
”パッケージインストーラー”アイコンをクリックしてパッケージインストーラーを起動します |
↓
上記赤枠の”言語”セクションを展開します |
↓
”言語”セクションを展開し、頭がJapaneseの項目まで下スクロール・・以下頭がJapaneseの項目にチェックを入れます ↓ |
ターミナルが起動し、チェックを入れた項目を対象にインストールが開始されます。同様に続行しますか?と聞いてくるため、yを入力し、インストールを続行させます |
3.日本語化残処理(fcitx-mozc設定)
fcitxの環境変数設定は、同じくGeanyで同時に開かれている、desktop-session.confの末尾に以下を追記します。
上記2.2のインストールの対象としてfcitx(mozc、anthyも包含)も含まれますが、再起動しても、日本語入力は行えません。fcitx設定(fcitx自動起動や環境変数の設定)が完了していないためです。
このため、再起動前にfcitxの自動起動設定、環境変数設定といったfcitxの基本設定を完了させてしまいます。
これは、コントロールセンター→”セッション”タブ→”ユーザーのデスクトップセッション”アイコンをクリックし、antiX-21の複数のConfigファイルを開いた状態で起動するeditor
Geanyを使って、startup(自動起動設定)及びdesktop-session.conf(環境変数設定)を修正します。
最初にfcitx自動起動設定を行います。
これは、Geanyで既に開かれている”startup”の末尾に以下を追記します。
#fcitx-autostart
fcitx-autostart &
#SET FCITX
export DefaultImModule=fcitx
export GTK_IM_MODULE=fcitx
export QT_IM_MODULE=fcitx
export XMODIFIERS=fcitx
以上、fcitxの自動起動設定、環境変数設定が終了したら、Geanyのメニュー→”File”を選択し、表示される項目の中で”すべて保存”を選択します。
すると、上述した2つの更新configファイル(startup、desktop-session.conf)が保存されます(実際にはGeanyで開かれているすべてのconfigファイルを保存しています)。
本処理完了後一旦再起動します。
再起動→login後、パネルにキーボードアイコンが表示されます。次にこのキーボードアイコン上でマウス右ボタンクリック→表示されるメニュー中の”設定”を選択し、"入力メソッドの設定”を起動します。
↓
日本語入力メソッドとしてMozc、Anthyが使用可能となっている事がわかります。Anthyは不要ですので、これを削除します。これは上記のようにAnthyを選択した状態で、”入力メソッドの設定"Window左下の、+、ーのボタンのうち、ーボタンを押下するとAnthyが削除されます。
↓
ちなみにfcitxの再起動は、パネル上のキーボードアイコン上でマウス右ボタンクリック→表示されるメニュー中の”再起動”を選択するだけです。
で・・・fcitx-mozcによる日本語入力は以下のような感じで・・行えるようになります。
以上で日本語化残処理は完了です。
4.基本設定
4.1 Conkyに関して
デフォルトでデスクトップに表示されるConkyテーマは日本語環境下で、以下赤枠のように文字化けが発生します。
使用されている文字が日本語表示に対応していないという原因ですが、ただ単に日本語表示可能なフォントを使用するようconkyテーマ変更しても次は日時表示の並びが欧米風となり、並びまで考慮しなければならない・・といった面倒くささが残ります。このためconkyテーマは強制的に英語モードで表示させるっていう手をいつもは使うのですが、antiX-21の場合、自動起動shellが見当たらず、ブラックボックス化されていて、LC_ALL=C指定でconky startup shellを起動するという手が使えません(Conky startupのOn/Offはconfigファイルで設定できるようになっていますが・・)。このため、conkyテーマの文字化け部分を最も簡単だと思われる内容で直接修正します。
この処理もコントールセンターから行います。
具体的には、コントロールセンターの”デスクトップ”タブ→”システムモニター(Conky)の編集”アイコンをクリックします。
この処理によって具体的にはGeanyが.conkyrcをeditしますので、これにて手動でConkyテーマを修正するという事になります。
Conkyテーマの構造として頭半分に各種定義文、後半にテーマ表示内容を定義するのが一般的ですが、antiX-21のデフォルト表示conkyテーマも同じ構造となっています。
Geanyで表示されているConkyテーマソースの”TEXT”を探し、”TEXT”の三行下の行を以下の文に書き直します。
${alignc}${time %Y-%m-%d}
具体的にはこんな感じ(以下反転箇所を修正します)・・。
↓
noto-sans-cjk系フォントをインストールして、システムやアプリケーションデフォルトフォントをnoto-sans-cjk系フォントに変える事はできますが、他のDistributionと比較するとシステムフォントの変更が面倒なので、今回は投稿内容から外しました。デフォルトのフォントでもそこそこ見やすいというのもあり。。どうしてもnoto-sans-cjk系フォントに変えたいというのであれば、noto-sans-cjk系フォントをインストールして、アプリケーションのみデフォルトフォントを変更するだけでも良いと思います。
例えば以下のように・・
<Thunderbird>
<Firefox ESR>
5.評価
軽快性:S、機能性:A、インストール→初期設定の平易性:A、日本語化残処理の平易性:D、安定性:A
となります。Full spec版のantiX-21をインストールしましたので、機能性は無論Aです。またこのFull spec版のantiX-21のlogin直後の消費メモリは440MBを確実に切ってきますし、操作上の軽快性は文句なく◎・・ここは最上級評価のS。インストール→初期設定(日本語化パッケージのインストール等一部日本語化残処理が入ります)の平易性はそんなに難しくないため評価A。ただし、相変わらず日本語input methodの設定(本稿ではここだけ日本語化残処理としています)は難易度が高く、これはDランク評価としました。
antiX-21の設定は、antiX コントロールセンターが軸となっているため、まずantiX-21で抑えるべき箇所は、このコントロールセンターという事になります。
相変わらず日本語input methodの設定に関しては、難易度が高く、他の設定内容も難易度は低くないためLinux中上級者向けLinuxである事は変わりませんが、とにかく軽くてさくさく動くLinuxが欲しいといった場合は、やはりこのantiX-21となってきます。
これほどの軽快性は必要無いというのであれば、MX-21の方が平易性は高いため、そちらを選択っていう事になります。
若干難易度は高めですが、Debianベース軽量Linuxとして筆者イチオシ・おすすめの一本となります!。
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