前回は、Manjaro 21.0.6 Gnome editionについて、投稿しましたが、今回は、同KDE editionについてです。ただし、"Ornara"のレビジョンアップが結構早いサイクルで行われており、今回のManjaro KDE editionはバージョン21.0.7になっています。
実は今まで、Manaro KDE edition単体を取り上げたのはわずかであるため、今回は他のeditionより詳細な内容にしてみます。
さて、ManjaroのOfficial editionのうちDisplayサーバとしてWaylandを採用しているものは、Gnome editionのみとなっています。他のOfficial editionであるKDE、Xfce各editionのDisplayサーバーは、X.org。ただし、KDE editionに関しては、若干作業が必要なものの、Waylandも利用可能です。今回は応用設定としてDisplayサーバをWaylandに切り替える方法を含め、日本語入力に関し簡易検証を行ってみます。
また、他Editionと同様、Manjaro Setting Managerが個別に存在しますが、KDE editionでは、一部機能が、KDEシステム設定に統合化されていますので、初期設定、日本語化残処理の一部については、Manjaro Setting Managerでは無くKDEシステム設定を使って行ってみます。
と・・言うことで早速投稿を進めていきます。
1.概要
以下参照
尚、meltdown/spectre HW脆弱性緩和策対応度はGnome editionと同様、問題無いレベルとなっています。
1.インストール(GPT/uefiケース)これは、Manjaro 21.0.6 Gnome editionの内容と全く同じです。ただしswapの設定に関しManajro 21.0.7 KDE editionでは問題なく行えるようになっています。
→https://www.linux-setting.tokyo/2021/06/manjaro-2106-ornara-manjaro-2106-gnome.html
2.初期設定
インストール→再起動→login後、表示されるManjaro Helloは日本語化残処理の際に利用しますので、一旦Windowを最小化しておきます。
1)repositoryの最適化
ターミナルを起動し、以下コマンドを投入します。これによりソフトウェアインストール・アップデートにかかる時間を最小化します。
→sudo pacman-mirrors --fasttrack
2)システムアップデート・アップグレードターミナルを起動、以下コマンドを投入しシステムアップデート/アップグレードを完了させます。
→sudo pacman -Syyu
3)pamac設定
pamac(ソフトウェアの追加と削除)を起動し、AURとflatpakをenableにします。これにより、通常のソフトウエアインストール/アップデートに加え、AUR及びflatpakソフトウェアインストール・アップデートを行えるようになります。
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4)時刻の調整
KDEシステム設定を起動し、タイムサーバとの時刻の同期を行います。
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上記のようにチェックし、適用ボタンを押下します。 ”ローカルタイムゾーンでのハードウェアクロック”は、Windowsとのデュアルブート時のみチェックを入れます。これによりWindowsとのデュアルブート時、Windows側の時刻の狂いを解消します。 |
3.日本語化残処理
1)アプリケーションの日本語化
日本語指定でインストールすればアプリケーションもほぼ日本語化されますが、独自の日本語化パッケージを持っているものは日本語化されませんこれらを日本語化します。
KDE editionのpre installアプリケーションのうち、対象となるのは、Firefox、Thunderbirdとなります。
KDEシステム設定→”言語パッケージ”から行います。
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2)デフォルトフォントの変更
デフォルトフォントをnoto-cjk-jp系フォントに変更します。pamac(ソフトウェアの追加と削除)を使ってnoto-fonts-cjkをインストールした後、KDEシステム設定を使ってデフォルトフォントの変更を行います。
① noto-fonts-cjkのインストール
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noto-fonts-cjkをpamacの検索ボックスから検索し、上段のnoto-fonts-cjkをインストールします。 |
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② デフォルトフォントの変更
これは以下の流れで・・
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上記のようにデフォルトフォントを変更し、適用ボタンを押下します。 |
2)日本語入力・・fcitx-mozcのインストールと設定初期設定の際に最小化したManjaro Helloを元に戻し、"Applications"からManjaro asian input support for fcitxをインストールします。これにより、fcitx-mozcのインストールと設定が完了します。
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Extended language supportを展開、この中のManjaro Asian Input Support Fcitxをチェックし、UPDATE SYSTEMボタンを押下します |
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fcitx-mozcをチェックし、選択ボタンを押下するとfcitx-mozcと環境設定ファイルのインストールプロセスが起動します。 |
以上処理終了後、logout/loginでfcitx-mozcによる日本語入力が可能となりますが・・・システムアップデート/アップグレード処理を初期設定でおこなっているため、一旦ここで再起動し、続けて、基本設定に入ります。
4.基本設定
4.1 ソフトウェアインストール
Gnome editionと比較すると、Firefoxの他、Thunderbirdもpre installされていますが、libreoffice等はインストールされていません。
再起動→login後、表示されるManjaro Helloの"Applications"を使用して不足アプリケーションを一気にインストールしてしまいます。この際、pre installプリケーションの中で不要なものもチェックを外す事によって、一気にアンインストールできます。
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追加インストールするアプリケーションにチェックを入れ、不要ソフトウエアのチェックを外し、UPDATE SYSTEMボタンを押下します。 |
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適用ボタンを押下すると、アプリケーションのインストール、ソフトウエアのアンインストールプロセスが起動します。 |
次に"3.日本語化残処理 1)アプリケーションの日本語化"の処理を再度実行し、独自の日本語化パッケージを持つアプリケーションの日本語化を完了させます。筆者の場合、libreoffice(fresh)とGIMPを追加インストールしていますが、これら2つのアプリケーションは独自の日本語化パッケージを持っているため、本処理で完全に日本語化されます。
4.2 パネルに表示される時刻フォーマットの変更(任意)
デフォルトのパネル上の時計表示は以下のようになっています。
2段目は、曜日、日の順で表示されます。
これでも構いませんが、筆者は以下のように変更しています。
変更方法は以下の通りです。
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パネル上で時計表示されている場所でマウス右ボタンクリック→表示されるメニュー中の”デジタル時計を設定”を選択 |
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4.3 仮想デスクトップの設定
① 仮想デスクトップの枚数の変更
仮想デスクトップの枚数は、デフォルト値で2枚となっていますので、これを4枚にしてみます。これはKDEシステム設定→ワークスペースの挙動→仮想デスクトップ から行います。
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追加ボタンを2回押下します |
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2段目の仮想デスクトップ名を変えます(1段目の名前に合わせます) |
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② 仮想デスクトップ切り替えショートカットの定義
次に仮想デスクトップの切り替えショートカットキーの定義を行います。
今回はXubuntu系と同じにしてみます。
定義するショートカットキーは・・
・一つ右のデスクトップへ切り替え:"Ctrl+Alt+→"
・一つ下のデスクトップへ切り替え:"Ctrl+Alt+↓"
・一つ右のデスクトップへ切り替え:"Ctrl+Alt+←"
・一つ上のデスクトップへ切り替え:"Ctrl+Alt+↑"
です。
この設定は、KDEシステム設定→ショートカット→Shortcuts→Kwinから行います。
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"一つ右のデスクトップへ切り替え"の箇所を展開すると、”Add custom shortcut"ボタンが表示されますので、これを押下します。するとキーコンビネーションを入れるよう要求が来るため、キーボードの Ctrl Alt →キーを同時に押すとショートカットキー定義が完了します。
同様な方法で、 一つ下のデスクトップへ切り替え、一つ右のデスクトップへ切り替え、
一つ上のデスクトップへ切り替えの各ショートカットキーを定義していきます。
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以上で仮想デスクトップを切り替えるためのショートカットキーの定義は完了です。
以上で基本設定は完了です。これで一般的な利用では困らないデスクトップ環境となります。
5. 応用設定
5.1 DisplayサーバをX.orgからWaylandへ切り替える
今後、DisplayサーバはX.orgからWaylandへ切り替わっていきます。現在のところWaylandをデフォルトで採用するものはGnome環境のみですが、次にWaylandへ切り替わるのは、KDE環境と言われています。Manjaro 21.0.7 KDE editionでもWaylandへ切り替える事は容易に行えますし、Wayland環境でKDE Plasma5を使用していても現在の所大きな問題は発生していません。
Waylandへの切り替えは以下の手順で行います。
① plasma-wayland-sessionのインストール
Plasma-wayland-sessionをpamacを使って検索し、検索結果の最上位のplasma wayland-sessionをインストールします。
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最上位のplasma-wayland-sessionのインストールボタンを押下 |
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適用ボタンを押下 |
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適用ボタンを押下 |
以上で、plasma-wayland-sessionのインストールは完了です。あとは再起動した後、以下のようにlogin時、Waylandセッションへ切り替えてloginします。
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login画面の左下隅に使用するdisplayサーバが表示されている箇所をクリックし、Plasma(Wayland)を選択しloginすればWaylandセッションとなります。 |
Wayland環境下でもfcitx-mozcのインストールを前述した方法で行えば、fcitx-mozcによる日本語入力も問題なく行えます。
5.2 パネルの移動、Dockの追加、Plasma Widgetの追加・設定に関して
1)パネルの移動
KDE plasma 5のパネルの移動はわかってしまえば簡単ですが、最初はとまどう事も多いのではと思います。ここではパネルを下部から上部へ移動してみます。
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パネル上でマウス右ボタンクリック→表示されるメニュー中のEdit パネル..を選択 |
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”スクリーンエッジ”をドラッグし上部へスライドさせます。 |
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以上でパネルを上部に移動・・が完了します。無論左右への移動も可能です。
2)ドックの追加
筆者は、Xfce環境等ではplankをドックとして使用しますが、KDE環境ではKDEと親和性の高いLatte dockを多用します。
Latte dockのインストールはpamacを使って・・
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Latteで検索し検索位結果の最上位のLatteをインストールします |
インストール後アプリケーションメニューからLatteを検索し、実行すると、デスクトップ下部にLatte dockが表示されます。アプリケーションの追加はアプリケーションメニューから、アプリケーションアイコンをドラッグし、Latteドック上でドロップするだけです。また、Latte dock上のアプリケーションアイコンの移動は、ドラッグしてスライドするだけです。
Latte dockは、一度起動すれば自動起動対象となります。
3)Plasma Widgetの追加・設定
次にデスクトップを強化するPlasma Widgetの追加・設定方法についてです。
Plasma Widgetはpre installされているplasma widgetを追加する方法及び、インターネットからインストール→追加する方法があります。
① pre installされているPlasma Widgetの追加・設定に関して
ここではpre installされているplasma widget:アナログ時計をデスクトップに追加し、位置の移動、サイズ変更、アナログ時計に秒針をつけてみます。手順は以下の通り。
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デスクトップ上でマウス右ボタンクリック→+ウィジェットを追加 ボタンを押下 |
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デスクトップ左側にデスクトップに追加できるPlasma Widgetの一覧が表示されます |
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アナログ時計を探してデスクトップ上にドラッグ&ドロップします |
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3秒程アナログ時計ウィジェット上でマウス右ボタンを押下し続けると、アナログ時計が選択された状態となります。この状態で、マウスでドラッグする事により、ウィジェットの移動他、ウィジェットの拡大・縮小、その他設定が行えます。 |
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ウィジェットの右側に配置されるパネル上の上から2つ目のアイコンを選択するとウィジェットの設定Windowが起動します。 |
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Show seconds handにチェックを入れ、適用ボタンを押下するとアナログ時計に秒針が表示されます |
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② Plasma Widgetをインターネットからインストール→追加する方法
ここではSimple Monitor(Simple System Monitor)をインターネットからインストール・追加してみます。
まず上記オペレーションと同様デスクトップ上でマウス右ボタンクリック→+ウィジェットを追加 ボタンを押下し、デスクトップ左側に追加可能なplasma widget一覧を表示させます。次に一覧の上部右側に配置された Get New Widgets ボタンを押下し、表示されるメニュー中の Download New Plasma Widgets を選択します。
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すると以下のようにインターネットからインストール可能なWidget一覧が表示されるため検索ボックス等を利用してsimple system monitorを検索し、インストールボタンを押下してインストールします。
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次に、デスクトップ上でマウス右ボタンクリック→+ウィジェットを追加 ボタンを押下し、デスクトップ左側にWidget一覧を表示させ、Simple Monitorを探し、デスクトップ上にドラッグ&ドロップします。
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Simple Monitorの設定Windowsの呼び出しは、アナログ時計と一緒です。ここでは、Simple Monitorの背景を透過させて見ます。
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それぞれのWidgetの位置やサイズを調整し、Simple Monitorの表示がわかりにくいため、Dark系の壁紙に変更すると、こんな感じのデスクトップが出来上がります(すでに、ここでは外観を変更しているため、オリジナルテーマは使用していません)。
Plasma widgetをパネルに収納したい場合は、widgetが選択された状態で、widgetをドラッグし、パネル上に持っていくとパネルに収納されます。
5.3 外観の変更:テーマのインターネットからのインストールと設定
外観の変更は、KDEシステム設定の”外観”から行います。
pre installされているテーマは数が限られますので、ここでは、インターネットからテーマを追加インストールする方法のみ記載します。インストール後各テーマを指定すれば、テーマ変更が行えます。
1)グローバルテーマ
Get New Global Themes ボタンを押下すれば、Widgetと同様インターネットからグローバルテーマを追加インストールできます。
2)Plasma Style
Get New Plasma Styles ボタンを押下すれば、Widgetと同様インターネットからグローバルテーマを追加インストールできます。
3)アイコンテーマ
新しいアイコンを取得 ボタンを押下すればWidgetと同様インターネットからアイコンテーマを追加インストールできます。
4)カーソルテーマ
新しいカーソルを取得 ボタンを押下すればWidgetと同様インターネットからカーソルテーマを追加インストールできます。
Mac系テーマをインターネットから取得して、設定すると、デスクトップをMac風にする事も可能です。
6. 評価
機能性:S、軽快性:A-、インストール〜基本設定の平易性:A-、安定性:A
となります。今回はDisplayサーバーをWaylandへ変更する方法や、KDE Plasma 5の外観の変更等も投稿の中に含めてみました。日本語入力環境のインストール・設定方法は従来と比べて遥かに良くなっています。またManjaro 21.0.7 KDE editionのlogin直後の消費メモリは、plasma widgetを5種類配置(パネルに1種類:天気予報)しても下記の通り優秀です。
KDE Plasma 5のデスクトップ機能性は最強ですので、KDE editionの機能性は無論Sランク。ただし、どうしても、設定内容は、他のデスクトップ環境よりも深く、難易度も高くなってしまいます。このため、できるだけ、本稿では投稿内容を整理して記載してみました。デスクトップキューブ等も面白いですが、実使用環境では、あまり使わないので、今回の投稿からは省いています(笑。
Manjaro 21.0.7 KDE editionは、Manjaroのofficialデスクトップの中の機能性の評価については、No1となりますが、その分、特に応用設定には時間と知識が必要なデスクトップ環境となります。
じっくりと、自分好みのデスクトップ環境に育てて行きたいという場合は、筆者イチオシ・オススメのDistributionとなります。
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