Debian 10.7 "Buster" ポイントリリースの登場です。Debian 10 "Buster"に関しては、昨年投稿していますが、今回は、最新Debian 10.7を使ってLXQtデスクトップ環境を作ってみます。
一言で言えば、構造的にかなり変わったLXQtデスクトップ環境となりますが、特にWifi接続方法は・・知っていれば何という事もないとは言え・・一般的には、かなりどつぼる事となります。また、一般的にLXQtデスクトップ環境はWindow Managerとしてopenboxを使用する事が多いのですが、Debian 10.7 "Buster" LXQt editionは、Xfce4のxfwm4を使用しており、設定においてXfce4の要素が多分に含まれます。
したがってcomposite managerたるcomptonのインストールや設定は不要となっており、この機能性は、Xfce4のWindow Managerの設定機能を使って設定・利用できるようになっています。無論LXQt環境ですので、Xfce4のWindow manager設定機能で設定しても無効になってしまう設定項目もいくつか散見されます。
同じLXQtデスクトップ環境であるLubuntu 20.04 LTSと比較すると、まず、日本語指定でインストールすれば、uim-mozcによる日本語入力も含め日本語化は、概ね完了するタイプであり、国内で使用する際の完成度は、Debian 10.7 "Buster" LXQt editionの方が遥かに高い状況となっています。
次にlogin直後の消費メモリは、343MBと400MBを大幅に下回るため、LXQt環境としては、極めて優秀!・・軽快性は申し分ありません。
今回は、Debian 10.7 "Buster" LXQt editionをwifiを使ってnet installし、実使用上の基本的設定事項について投稿していく事とします。
1.概要
1)デスクトップ環境:LXQt 0.14.1
2)Window Manager : xfwm4
3)カーネル:4.19.0-13-amd64
meltdown/spectre等HW脆弱性緩和策対応度は・・まず問題の無いレベルとなっています。2.インストール(MBR/Legacy BIOSケース)
1)インストール準備(インストールメディアの作成)
インストールメディアの作成は、Windows 10上で行っています。メディアは、インストールisoファイルを書き込んだ後、編集(firmwareの追加)を行うため、USBメモリを使います。isoファイルをUSBメモリに書き込む際はrufusを使っています。
Debian 10 "Buster"でWifiをインストール直後から使用できるようにするための最も早い方法は、Debian 10 "Buster"のインストールメディアにunofficial firmwareを追加し、wifiを使用してインストールする方法をとる事です。このため、network install用のmediaとunofficial firmwareのzipファイル双方を取得します。
① Debian 10.7 network install用ISOファイルのダウンロード
これは以下URLで表示されるページ中の、”小さなCDまたはUSBメモリ”→"amd64"の箇所をクリック・・
② Debian 10.7 unofficial firmwareのダウンロード
これは以下URLから・・
firmware.zipをクリックしてダウンロードします。
③ Debian 10.7 インストールISOファイルをUSBメモリに書き込み
ダウンロードした、Debian 10.7 network install用ISOファイルをrufusを使ってUSBメモリに書き込みます。
デバイスには、USBインタフェースに装着したUSBメモリーが自動的に表示されます。
ブートの種類の箇所で、”選択”ボタンを押下し、ダウンロードした、Debian 10.7 network install用ISOファイルを指定した後、スタートボタンを押下します。
上記スクリーンショットに移行しますので、OKボタンを押下します。これで、USBメモリにDebian 10.7 network install用ISOファイルが書き込まれ、Debian 10.7インストールメディアが出来上がります
④ USBのDebian 10.7 インストールメディアのfirmwareディレクトリ配下を、ダウンロードしたfiremware.zipを解凍した上で上書き
Debian 10.7インストールメディアはUSBメモリに作成したため編集が可能です。
まず、ダウンロードしたunofficial firmware・・firmware zipをwindows上で解凍し、これら全てのunooficial firmwareファイルでDebian 10.7インストールメディアのfirimwareディレクトリ配下を上書き(コピー)します。
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以上でWifiに対応したDebian 10.7 network install用メディアの作成は終了です。
unofficial firmwareが既に梱包されたDebain install用isoファイルも存在しますが、場合によって手がかかる事があり、筆者は上記の方法を採用しています(こちらの方が確実です)。
2)インストール
インストールは1)で作成したUSBインストールメディアを使いブートする事によって行います。
"Graphical install"を選択 |
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Wifi側を選択(インストールメディアの作成がうまく行っていれば、Wifiを認識します) |
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Wifiの接続先(SSID)を選択 |
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Wifiセキュリティレベルを選択 |
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Wifi接続認証のためのパスコードを入力 |
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お好きなものを入力 |
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お好きなものを入力 |
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一般的にはftp.jp.debian.orgを選択しますが、リリースされたばかりの場合はreplicationが終わっていない場合があります。今回はこのケースに該当したため、上記のようにdeb.debian.orgを選択しています。 |
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一般的には入力しません。 |
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デスクトップ環境を選択します。今回はLXQtにチェック。 |
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以上でDebian 10.7 LXQt editionのインストールは完了です。
本体及びブートローダーのインストール先は環境依存となりますので参考になりません。尚、今回は、インストール先として、デュアルSSD構成としたThinkpad X250の1st SSD(256GB)をまるまる使用しています。3.初期設定
1)Wifi接続
Debian 10.7 LXQt editionでは一般的なネットワークマネージャーを使用していないため、ネットワークマネージャーアイコンがパネル上に表示されません。似たようなネットワーク管理機能を持っているものとして、antiXがあり、これはceniを使用してネットワーク接続を行いますが、Debian 10.7 LXQt editionでは、Connmanをpre-installしており、これがCeniと同等の機能性を提供しています。
具体的には、アプリケーションメニュー→設定→LXQt Settings→LXQtコンフィグレーションセンター→"Connman UI Setup"を起動する事によって、Wifi接続設定を行います。
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Statusタグでは、Ethernetをoffにし、WifiをOnにします(On/offの切り替えはOnまたはOffボタンをクリックする事により行なえます)。 |
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Wirelessタグに移り、接続先SSIDを選択した後Connectボタンを押下、この後表示される"Agent Input" windowの"passphrase"の箇所に接続先SSIDのパスコードを入力し、"Connect"ボタンを押下します。 |
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Wifi接続が成功すると、接続したSSIDがSSID一覧の最上部に表示されるようになり、statusとして接続されている状態に変化します。
以上で、Connnan UI Setupを終了します。パネルにはネットワークインジケーターが表示されませんが、以降、ここで接続設定したSSIDに自動接続されます。
2)sudoコマンドを利用可能とする
初期状態では、sudoコマンドが利用可能となっていません。このためターミナルを使って、以下コマンドを順次投入し、sudoを利用可能とします。以下 loginID の部分は自分のアカウントを指定します。
su
/usr/sbin/usermod -G sudo loginID
3)システムアップデート/アップグレード
システムアップデート/アップグレードを行います。
これはターミナルを使って、以下コマンドを投入。
→sudo apt update && sudo apt upgrade
4.日本語化残処理
Thunderbirdに関しては最新バージョン78がpre-installされますが、japanese language packがインストールされていないため、日本語化されません。
このため、synapticを使用してThunderbirdのjapanese language packをインストールします。他デフォルトフォントが気に入らない場合は、デフォルトフォントの変更処理を行って日本語化残処理は終了となります。
参考までに筆者は、noto font cjkタイプフォントをインストールして・・
→sudo apt install fonts-noto-cjk
システムデフォルトフォントやアプリケーションデフォルトフォントを以下のように変更しています。
5.基本設定
2)ワークスペースの枚数の変更
LXQtの基本設定に関しては、簡単にかつ例示的に紹介します。
1)パネルの時刻表示
パネルの時刻表示は、パネル上の時刻表示箇所にカーソールをおいて、マウス右ボタンクリックにより表示される”世界時計を設定”を起動し変更できます。具体的には”世界時計を設定”中の”形式を詳しく設定”にチェックを入れカスタマイズした時刻表示(2段表示)をさせています。カスタマイズ定義内容は以下のような感じ。。
これにより、パネル上の時刻は以下のように表示されます。
ワークスペースの枚数は初期状態で2枚ですが、これはLXQtコンフィグレーションセンターの"ワークスペース"を使って増減が行えます。筆者は4枚に。。
ワークスペース名が表示されないのはご愛嬌です。。ここはXfce 4のワークスペース設定機能なので致し方ありません。他、パネル上の”クイック起動”の設定(ドックの代わりに使っています)、Google Chromeのインストール、flatpakのインストール、flatpakを使ってFirefoxのインストール(Firefox ESRはそのままにして)、pre-installされたLibreofficeの削除(古いため)、flatpakを使って最新のLibreofficeのインストール等を行い以下のようなデスクトップをまず作成。。
次に、conkyのインストール&テーマ表示、パネル上の”デスクトップの切り替え”を2段表示にした上で、パネルをデスクトップ上部へ移動、壁紙を変更し、最終的に以下のようなデスクトップに仕上げています。6.flatpakと日本語入力
Debian 10.7 LXQt edition上にデフォルトで設定される日本語input method:uim-mozcを使用した場合、flatpakアプリ上でも問題なく日本語入力は行なえます。
ただし、iBus-mozcを使った場合、flatpakアプリ上で日本語入力はできるものの、インライン入力ができません(インライン設定は行われています)。またfcitx-mozcを使った場合は、flatpakアプリ上での日本語入力はできない・・という結果になりました。
少なくとも、Debian 10.7 LXQt editionで、flatpakアプリを混在させる場合は、uim-mozcをそのまま使った方が良いと考えられます。
7.評価
軽快性:S、安定性:A、インストール→初期設定の平易性:C、日本語化残処理の平易性:A、機能性:A-
という感じでしょうか。
軽快性は、LXQt デスクトップ環境を有するdistributionの中では極めて優秀です。antiX、Q4OS Trinity editionと肩を並べる軽快性を持っていますので、侮れません。
ただし、wifiを使ったインストールプロセスや、wifi/有線network管理機能:connman等、インストール〜初期設定までの設定内容は平易とは言い難いため、この箇所の評価は辛めのCとしています。
反面、システムやアプリケーションの日本語化(uim-mozcの設定も含む)は、ほとんど残処理が無いため、他のLXQtデスクトップ環境と比較しても極めて優秀な部類に入ります。また、flatpakアプリケーションでの日本入力も問題なく行える点も◎です。
Window managerとしてxfwm4を使用しているため、openboxと比較して設定上、取扱いが平易になっている所も特徴的です(composite managerの設定等)。
やはり設定の難易度から見れば、中級者以上向けのDistributionとなりますが、デスクトップの機能性を犠牲にせず、より軽快なデスクトップ環境を目指す場合は、かなりおすすめの一本となります。
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