日本時間4月24日にリリースされた新しいUbuntu長期サポート edition・・Ubuntu 20.04 LTS "Focal Fossa"。これからこの新しいUbuntu 20.04 LTSをベースとしたUbuntu baseのリリースラッシュが始まりますが、今回は、このベースとなる大元、Ubuntu 20.04 LTSの主要機能拡張項目に関して検証していきます。
インストール、初期設定、日本語化残処理、基本設定の考え方はUbuntu 19.10と同じですので、割愛です。
1.Ubuntu 20.04 LTS の主な機能拡張項目と検証結果
1)パフォーマンスの改善
まず、Ubuntu 20.04 LTSのデスクトップ環境は、Ubuntu 18.04 LTSのGnome 3.28から、Gnome 3.36へ引き上がり、パフォーマンスの向上、メモリー消費量の削減が行われています。使ってみた感じ、メモリー消費量については、ドラスティックな削減にはなっていませんが、レスポンスは明らかにGnome 3.28を搭載するUbuntu 18.04 LTSよりも改善しています。
2)APPフォルダー
デスクトップ環境が、Gnome 3.36になって、パネル上の”アプリケーションを表示する”機能性(いわゆるアプリケーションメニュー)では、アイコンをドラッグして他のアイコンと重ねる事により容易にグルーピングできるようになっていますが(APPフォルダー)、この機能はGnome 3.34から追加され、さらに今回APPフォルダーの名前変更の箇所で若干機能拡張されています。
↓
できれば、pre-installアプリケーションに関し、最初っから、デフォルト値でグルーピングし、APPフォルダーを作成してほしかった所ですけど(^^;。。
3)拡張機能
これはgnome-shell extensionの管理機能となります。
簡単に言えば、Gnome Tweak Toolの"拡張機能”部分を切り出した機能性です。違う部分としては、ユーザが、ブラウザー→gnome-shell-integrationのアドオンを使用し、新たにgnome-shell-extensionを追加した場合、上記拡張機能では、”手動でインストール”カテゴリーに分類されて表示される点です。
ここでは、gnome-shell-extensionのOn/Off、及び各gnome-shell-extensionの設定が行えます。
注意)gnome-shell-integrationをFirefox上でenbaleにするためには、別途、chrome-gnome-shell をインストールする必要があります。
4)Ubuntu Software
個人的にはここが変更点としては一番大きな所だと思います。DebパッケージではなくSnapパッケージを管理する枠組みになっているためなんですが。。
このUbuntu Softwareは、他OSのソフトウエア管理機能とは異なり、Debパッケージも取り扱えるとドキュメントには書かれています。
そこで少し検証してみる事にしました。
① InkscapeをUbuntu Softwareを使って追加インストールした場合
Ubuntu SoftwareでInkscapeをインストールすると、Synapticでもインストール済みとなります。
Ubuntu Software Inkscape status→インストール済み |
Synaptic Inkscape status→インストール済み |
さてインストールしたInkscapeですが..インストール済みとなったUbuntu SoftwareのInkscapeのバージョンは、0.92.4、SynapticのInkscapeのバージョンは、0.92.5となっていました。
実際のインストールしたInkscapeのバージョンは、0.92.5・・。すなわちSynaptic側のDebパッケージがインストールされた事となります。
② GIMPをUbuntu Softwareを使って追加インストールした場合
次にGIMPをUbuntu Softwareを使ってインストールすると、今度は、SynapticのGIMPがインストール済みにはなりません。
Ubuntu Software GIMP status→インストール済み |
Synaptic GIMP Status→未インストール |
Ubuntu Software側のGIMPのバージョンは、2.10.18、Synaptic側のGIMPのバージョンは、2.10.18・・同一バージョンです。無論インストールしたGIMPのバージョンも2.10.18となります。
念の為、インストールされているsnapパッケージを確認してみると・・
GIMPがSnapパッケージとしてインストールされている事がわかります。Inkscapeは、Snapパッケージ一覧にありませんので、Debパッケージという結論になります。
これで、Ubuntu SoftwareがSnapパッケージと、Debパッケージを双方扱える事はわかりましたが、SnapパッケージとDebパッケージとして同じアプリケーションが存在する場合のUbuntu Softwareの挙動に関しては、もう少し深く検証しないとだめかなと考えています。今回だけの検証結果を見た場合、Snapパッケージのアプリケーションのバージョンが、Debパッケージの同一アプリケーションのバージョン以上だと、Snapパッケージ側が採用されるように見えますが、まだはっきりした事は言えません。日本語化の局面では、Debパッケージ側にある日本語language packがSnapパッケージ側の対象アプリケーションに使用できないケースも考えられますので、注視していきたいと思います。実は、Ubuntuの場合、以前からこの2種類の異なったパッケージ管理が存在していましたが、Ubuntu 20.04 LTSになって、明確に、Snapパッケージ管理としてUbuntu Softwareが前面に出てきたため、今回取り上げてみました。
ただ、Ubuntu Softwareは、少々微妙な挙動をする事があるため、synaptic使いならば、synapticを追加インストールして、しばらくの間、Debパッケージによるパッケージ管理を行った方が良いかもしれません(^^;。
注意)Synapticはpre-installされていませんので、別途インストールしています。
5)ディスプレイ表示スケールの設定
これは前回投稿した、Deepin Desktopと同様な機能性です。
任意倍率のスケーリングをOnにする |
↓
サイズ調整の調整幅が広がります |
これは少々品質的にどうかな・・という出来ですので、使わない方が良いかもしれません。まだ、Deepin Desktopの同一の機能性の方が良い感じです。
6)Login・Lock画面の改善
パスワード横の”目玉アイコン”を押下すると・・ |
●●●●だったパスワードが表示できる |
NUMLOCKキーを押下してて、どうしてもパスワードが通らない・・なんて時には役に立ちます。
7)デスクトップ配色の変更
これはオリジナルのデスクトップテーマ(Yaru)だけに有効な機能です。例えば、gnome-tweak-toolを使ってアプリケーションや、gnome-shellのテーマを変更している場合には、本配色の変更を行うと、オリジナルのデスクトップテーマ(Yaru)に強制的に戻り、配色の変更が適用されます。筆者の記憶が正しければ、本配色の変更機能は、初めてUbuntuに搭載されたものとなっています。
配色は”明るい”、”標準”、”暗い”の3色の中から選択できます。
”標準”の配色 |
”明るい”の配色 |
”暗い”の配色 |
2.評価
インストール・初期設定・日本語化残処理・基本設定の平易性:A、安定性:A、軽快性:B+、機能性:A
といった所です。日本語環境においては、Ubuntu desktop 日本語remixの方が上ですので、完全な日本語環境が必要な場合は、Ubuntu Desktop 日本語remixのリリースを待ったほうが良いでしょう。ただし、Ubuntu 20.04 LTSの一般的な使い方では、Ubuntu Desktop 日本語remixを待たなくても、十分な日本語化(日本語input methodの設定を含む)レベルだと思います。
Ubuntu 18.04 LTSと比較したUbuntu 20.04 LTSの機能拡張項目については今回代表的なもののみ取り上げました。Ubuntu Softwareについてはもう少し調べないと駄目だな・・という感じでしたが、Gnome等のベースラインはほぼ最新であり、拡張された機能性も十分だろうと思います。触った限りでの安定性は高いと評価しましたが、出たばかりですので、正直、今後、何が起きるかわかりません。アップグレードを検討されている方は、最初のポイントリリース、Ubuntu 20.04.1まで待った方が安全だろうと思います。
筆者は初心者向きLinuxという表現は、まず使わない人なんですが、Ubuntu 20.04 LTSに関しては、平易性・情報量の観点で、最初にLinuxを触る方にとって最良の一本だろうと思います。
さて今回投稿対象としたUbuntu 20.04 LTSですが、壁紙として、Ubuntu 8.04 の壁紙がpre-installされています。本投稿記事先頭のスクリーンショットの壁紙がそうなんですが、当時夢中になって8.04のカスタマイズに勤しんでいた自分が懐かしく思い出されます。粋な計らいでした(笑。。
注意)冒頭、末尾のスクリーンショットは、Conkyを2種配置し、gnome-shell-extensionの一つであるOpenweathermapの天気予報をパネル上に配置、Dockの配置をデスクトップ右側に変更等しており、オリジナルのデスクトップとは異なる点に注意ください。
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