以前のantiXに関わる投稿記事の中でも何回か触れてきていますが、antiXは、日本語input methodの設定やアプリケーション日本語化に関する設定内容がかなり特殊であり、しかもDEがrox-icewmって事もあって、筆者が取り上げてきたLinux distribitionの中では、中上級者向けDistributionとしています。
そもそも初心者向けLinux distributionってあるのか・・というお話が出てきますが、考えてみれば、初心者向けDistributionとして当方のブログで取り上げたものは非常に少ない結果となっています(あることはあります)。
Debianベースや、Archベースの中では、初心者向けを探すのはかなり難しく(インストールプロセスがシンプルでかつインストールするだけで、アプリケーションやベースの日本語化が完了し、日本語入力もできるものが該当)、数自体がほとんどありません。
主には日本語入力を可能にするため必ずひと手間必要・・というものが多いのも確かですが、アプリケーションやベースの日本語化(結果的に各メニュー等の日本語化を指します)に関しても注意すべき事項が多々あるDebianベースやArchベースは、やはり中上級者向けという定義になってきます。
では、初心者がLinuxに初めて触る際には、どのLinuxが良いのか・・・これは、Ubuntu、Xubuntuあたりが、最良だと考えています。日本語化以外の設定内容も他と比べれば平易性が極めて高いという特徴を持っていますし、これらは、ネット上の情報量も非常に多いためです。
さて、今回取り上げるantiX 19.2の話題に戻ります。まずインストールの流れや、日本語input methodのインストール及び設定の流れはほとんど変わっていません。ただ筆者がインストール&設定した時点では、libreofficeに対してlibreofficeの日本語language packがパッケージ不整合(バージョンが一致しない)でインストールできない・・という問題が発生しています。
このために、antiX package installerにて、Libreofficeの日本語language packを選択してしまうと、選択した他のlanguage packや、fcitx-mozc及びその依存パッケージもインストールされないという現象が発生します(エラーメッセージが表示されないため、気が付きにくい箇所です)。このあたりを加味した上で、今回は、antiX 19.2と、以前紹介したantiX 19との間の設定上の差分に関して投稿していく事とします。
1.概要
1)ベース:Debian 10.3 Buster
2)デスクトップ環境:rox-icewm
3)カーネル:4.19.100-antix.1-amd64-smp
デフォルトカーネルは、4.9.xxですが、筆者はantiX 19.2のBuster系LTSカーネルにアップグレードしています。
meltdown・spectre等HW脆弱性緩和策対応度は・・
サマリーのみのスクリーンショットですがまず問題の無いレベルとなっています。
以下、インストール及び、設定内容に関して、antiX 19とantiX 19.2の設定上の差分を記載していきます。
本ブログのantiX 19に関する投稿内容との差分となります。従って下記リンクを参照しながら、設定を進めていく必要があります。
1.インストール
1)インストール事前設定
"Select Timezone"選択画面で"60"のTokyoを選択した後、以下の画面が表示されます。
antiX 19に関する投稿記事の中では、1の"デフォルト"を選択していましたが、仮にWindowsとのデュアルブート構成にしている場合は、11の"hwclock=local"を選択します。
これでLinux使用後にWindowsを利用した際の時刻のずれが解消されます。
2.基本設定
1)repositoryの最適化とシステムアップデート&アップグレード
メニューから”アプリケーション”→”システム”→”リポジトリマネージャー”を使用して行います。Debian repositoryは国内サーバーになっていますが、antiX repositoryは国外サーバー(ベトナム)に設定されていますので、必要に応じて変更します。筆者は、以下のように日本国内サーバを指定しています。
antiX 19の際は、リポジトリマネージャーがまっとうに動作しなかったため、synapticを使用してrepositoryの変更処理は行っていましたが、今回まっとうに動いていますので、antiXのリポジトリマネージャを使用してます。
以上処理終了後、synapticあるいは、コマンドにてシステムアップデート・アップグレードを行います。
コマンド→sudo apt update
sudo apt upgrade
3.日本語化残処理
1)日本語language pack、fcitx-mozcのインストール
メニューからコントロールセンターを立ち上げ、System→Package Installerを選択・実行し、language sectionの中で以下をインストール対象としてチェック、Installボタンを押下してインストールします。
antiX 19の設定との違いは、libreofficeの日本語language packを外している事です。ここにチェックを入れてしまうと他チェックを入れたlanguage pack及びfcitx一式がインストールされません。
Libreofficeの日本語language packは、今回、バージョン不整合のためインストールできませんが、どうしても日本語化したい場合は、当該language packを国内debianサイトから引っ張ってきて手動でインストールする事は可能です。
上記URLをブラウザーで指定すると以下ページが表示されます。
上記で、ダウンロードサイトとして”ftp.jp.debian.org/debian"を選択すると、antiX 19.2にpre-installされているlibreofficeに対応したlanguage pack(libreoffice-l10n-ja_6.4.2-3_all.deb)が取得できますのでこれをgdebiでインストールします。
→sudo gdebi libreoffice-l10n-ja_6.4.2-3_all.deb
以上でlibreofficeの日本語化が完了します。
(Libreofficeのサイトからも上記は取得できますが、見かけ上バージョンはあっているものの、バージョン違いでインストールははじかれます)
次にfcitx-mozcの不足分パッケージのインストールに関しては、antiX 19設定の際にインストールしたものに加え、fcitx-frontend-qt5を追加しています。
→sudo apt install fcitx-frontend-gtk2 fcitx-frontend-gtk3 fcitx-frontend-qt4 fcitx-frontend-qt5 mozc-utils-gui
以上で差分の解説は終了です。差分以外の他の設定内容に関しては、antiX 19に関する本ブログ投稿内容と同じとなります。
応用設定の一つとしてConkyテーマの書き換えに関し、簡単に触れておきます。今までConkyの表示に関し、Conky starupシェルを書き換えて、英語モードで表示させる事により、日時の文字化けや並びを修正してきましたが、antiXの場合、若干面倒なので、テーマソースを書き換えて以下のようなConkyの表示にしています。
大した修正では無いですが、.conkyrc修正箇所は以下の反転部分です。
5.評価
軽快性:S、インストール・初期設定・日本語化残処理の平易性:D、機能性:A、安定性:B+
となります。
login直後の消費メモリーが260MB、Firefox起動後は、527MB・・やっぱり超軽快・軽量タイプで機能性も◎!。
今回、libreofficeの日本語language packに関する問題は流石に”えっ”っていう感じでしたが、他の設定内容に関しては"stable"になってきました。ただやはり、設定及び使用上の難易度が、かなり高いため、Linux中上級者向けDebian BusterベースDistributionとなります・・。
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