MX LinuxはよくantiXのXfce4版と言われますが、その性格は異にしています。すなわち機能性を失わずに軽快性・軽量性を追求するantiXに対し、MX Linuxは、豊富な機能性をantiXより継承し、さらにXfce4を採用する事による使い勝手を向上させた上で、豊富なConkyテーマとこれを管理するConky managerを搭載し遊び心をくすぐる絶妙なデスクトップ環境を提供しています。
面白さという意味ではXubuntu LTS(長期サポート)ベースのフランス産Voygaerと肩を並べると考えられますが、pre-installされる膨大なConkyテーマの出来は、VoyagerよりもMX Linuxの方が筆者的には好きです。今回も結構新しいConkyテーマが使えるようになっており、若干、Themeのソース変更は必要なものの、楽しいデスクトップ環境が作れる所は◎です。
かたやXubuntu LTSベースのVoyagerは、機能拡張にまつわるアップデートがUbuntu 18.04 LTSベースがリリースされてから大きなものは皆無です。反面、Ubuntu 通常リリースor Debian Buster/Gnome3.3xベースのVoyagerは機能面で大きな進化を遂げてつつあり、10月27日にリリースされたVoyager GE 19.10に関しても楽しみな所です。
さて、MX Linux 19に話を戻します。今までのリリースの流れから言えば、一般的に毎年12月にメジャーバージョンアップを行ってきたMX Linuxですが、今回は2ヶ月も早く最新のXfce4.14をデスクトップ環境として搭載するDebian10.1ベースのMX Linux 19をリリースしてきました。
本年DebianがStrechからBusterにその軸足を移し、MXもStrecthからBusterベースにする事を急いだためと考えられますが、割に頻繁にベータやRCを出し、リリース前テストも十分に実施してきています。
今回は、世界的にも人気の高いMX Linux 19に関し、インストール、初期設定、日本語化残処理、基本設定を中心に投稿を進めていく事とします。
尚、本ブログで掲載するスクリーンショットは、Conkyテーマも含め、筆者が割にカスタマイズした後のものですので、インストール直後のデスクトップとは異なる点につき注意ください(plankについてはpre-installされておらず、筆者が追加インストール&設定したものです)。
1.概要
1)ベース:Debian 10.1 Buster/antiX 19
2)デスクトップ環境:Xfce 4.14(最新)
3)カーネル:4.19.0-6
2)インストール事前設定とインストール
この箇所は、ほぼほぼantiX 19と同じです。特にインストール事前設定の箇所は設定項目が詳細化されており、StretchベースのMX Linuxからは様変わりしています。
と・・言うことで、まずは、インストールの事前設定から。。
1)インストール事前設定
ここは全くantiX 19と同様な内容ですので、説明は省きます。
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2)インストール
これもほぼ同じ・・MX Linux 19ではNum-lockに関し対処の必要はありません。
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1)Codecsのインストール
インストール→再起動でデスクトップに表示される "MX Welcome"のCodecsを押下して、MX Codecs installerを起動し、インストールします。
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2)パネル位置の変更
パネル位置の変更はオプションです(必要に応じて実施ください)。
これは"MX Welcome"のTweakを押下してMX Tweakを起動する事によって以下のように行います。筆者はパネル位置を左端からデスクトップ下側に移動させています。
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3)repositoryの最適化とシステムアップデート・アップグレード
repositoryの最適化を行う事により、ソフトウエアインストール・アップデートにかかる時間を短縮する事ができます。
これは、"MX Welcome"のToolsを押下して、MX Toolsを起動し、この中のMXリポジトリマネージャーから一般的には行いますが、MX リポジトリマネージャーのMX reposタグの画面から、"Select fastest MX repo for me"ボタンを押下しても、国内サーバーにセットされません。
同様にDebian repositoryもMX リポジトリマネージャーのDebian reposタグの画面から”Select fastest Debian repo for me"ボタンを押下しても国内サーバーにセットされません。
このため、以下のような順で設定を行い、MX及びDebian respositoryを国内サーバーに変更します。
① MX リポジトリの変更
MXリポジトリマネージャーから・・
国内サーバーを選択して”適用”ボタンを押下します。
筆者は山形大学のrepositoryを選択しています。
② Debian repositoryの変更
Synaptic→設定→リポジトリを選択するとrepositoryの変更作業が行えます。
ここではDebian respositoryの変更を行います。
有効タグにチェックが入っている、”http://deb.debian.org/debian/"を"http://ftp.jp.debian.org/debian/"に書き換えます。
以上で”OK”ボタンを押下し、Synapticのメニューの”再読込”→”すべてアップグレード”→”適用”ボタンを順次押下し、システムアップデート・アップグレードを完了させます。以上でrepositoryの最適化及びシステムアップデート・アップグレードは完了です。
注意)
①の処理が完了してもMX repositoryが正しくセットされない事があります。(apt updateでエラーが出た場合、この現象が発生しています。)
この場合は以下のSynaptic→設定→リポジトリの内容を参考にSynapticからMX repositoryの書き換えを行ってください。
3.日本語化残処理
"MX Welcome"からToolsを押下し、MX Toolsを起動、MX Toolsの中のMXパッケージインストーラーを起動して日本語化残処理を行います。
MXパッケージインストーラーの言語セクションから以下を選択してインストールします。
パッケージ選択後、Installを押下 |
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上記画面に推移したらYを入力 |
以上処理が完了すれば、fcitx-mozcのインストール及び設定や、主要アプリケーションのメニューの日本語化が完了し、logout/loginでfcitx-mozcによる日本語入力も可能となります。
このあたりは、antiX 19よりも遥かに簡単です。
4.基本設定
これはお好みに合わせて・・。設定は、 Xfce4 設定マネージャー→デスクトップから。。
筆者はManualとFAQアイコンのみデスクトップに表示させていますがこれを左下から垂直の並びに変更しています。
2)Conky startup shellの修正
MX Conkyを使って、様々なConkyテーマをデスクトップに表示させる事が可能ですが、日時表示箇所は、フォントの問題により文字化けします。
大量のConkyテーマがpre-installされているため、使用フォントを日本語表示可能なものに変更するのは相当な労力が必要です。このため筆者はConky startup shellのみを修正してconkyをLC_ALL=Cでキックする事により英語表示にしてしまっています。これを行うためには、"Xfce4 設定マネージャー"→"セッションと起動"→”自動開始アプリケーション”の”Conky”を書き換えます。
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モザイクの箇所はご自身のlogin idとなります。以上でlogout/loginすると・・
英語表示となり、文字化けがなくなります。
少し数字箇所が重なってみずらいのでソースを若干修正すると・・以下のような感じとなります(そのまま使用できるConkyはそんなにありません。ひと手間必要です。)。
ただ問題として以前から指摘してるんですが、MX Conky→Conky Managerを使用してConkyテーマを変えてしまうと、”自動開始アプリケーション”のConky(Conky startup shell)自体も書き換えられてしまうため(startup shellが初期化される)、再度、上記の作業が必要になってしまいます。ここはなんとかしてほしい・・と切に思ってるんですが( ^^ ;。。。
5.評価
軽快性:A、機能性:S、インストール・初期設定の平易性:B、日本語化残処理・基本設定の平易性:B+、安定性:A
こんな感じでしょうか。。MXリポジトリーマネージャの出来はantiX 19よりもまっとうに動作しますが、”Select fast・・"ボタンを押下した際、MX・Debian双方国内サーバーがセットできないのは痛い感じ。また、MX repositoryの設定箇所は微妙な動きをする事がありますので注意が必要です。無論出来上がった環境は、俊逸ですが、そこまで持っていくのに労力はそれなりにかかります。中上級者向けDistributionですが、機能性は十分。。加えて、楽しさも同居した、筆者おすすめ、一押しの一本となります。
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