2013年に登場したU.S.産 Lubuntu LTSベースLXLE。登場した当時から筆者は様々な設定上の罠をかいくぐりLXLEを見続けてきましたが、Lubuntu 18.04 LTSがリリースされてから、1年半を経過して、そして、あと7ヶ月後には次期Ubuntu LTS/Ubuntu 20.0 LTSがリリースされてくるこの時期に、Lubuntu 18.04.3ベースのLXLE 18.04.3をリリースしてきました。
この間、LXLE開発チームにおいては、デスクトップ環境をどうするか非常に悩んだ末、結果的にはLXDEをそのまま使い、しかも徹底的にスリム化して、今回のリリースに至っています。
このスリム化はどう考えても次期LXLEのデスクトップ環境への準備とも捉えられ、果たして、LXLEがUbuntu 20.0 LTSベースとなった際にどのデスクトップ環境を選択するのか興味深いところではありますが、Lubuntu LTSがLXQtに移行する事になった今、Lubuntuと同様LXQt環境にするかどうかは微妙であり、今後の動向を注視していく必要があります。
今回リリースされたLXLE 18.04.3は、HWEの適用はせず、カーネルやXスタックは、Ubuntu 18.04.1の環境を踏襲しています。この上でpre-installアプリケーション/ツール等の削除、変更を大胆に 行ってきており、これが今回のさらなる軽量化に繋がっています。
例えば、前回紹介したManjaro 18.1.0 Xfce editionのlogin直後のUsedメモリーは、697MB程度。。
これが、LXLE 18.04.3になると268MB。。
なんと2.6倍の差が生じる結果となっています。
Ubuntu 18.04 LTS系の中では軽量・軽快というファクターで間違いなく先頭集団の先陣を切るDistributionと言っても過言ではないでしょう・・。
という事で今回は、Lubuntu 18.04.3ベース 軽量・軽快LXLE 18.04.3に関して取り上げます。
1.概要
1)ベース:Ubuntu 18.04/Lubuntu 18.04.3
2)デスクトップ環境:LXDE
3)メール・News・RSS・Webブラウザー:Seamonkey 2.49.5 統合環境を使用
4)主要変更点
・pre-installの変更点
GIMP→Pinta
Htop→Lxtask
lxterminal→Sakura
FBreader→Bookworm
Openshot→Pitivi
Libreoffice→Abiword/Gnumeric/Spice-Up
・pre-install 削除,その他
Pulse Audio Equalizer→削除
Lubuntu Software Center→削除
Wallpaper images→サイズを減少化 等
5)カーネル:4.15.0-62
meltdown等HW脆弱性緩和策適用度は。。
サマリーだけですが、問題のないレベルとなっています。
2.インストール
インストールの流れは以下の通り。ただし、本体及びブートローダーのインストール先は環境依存となりますので参考になりません。
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3.初期設定
repositoryに関しては、全て海外サーバーとなっているため、国内サーバーが使用できるもの(Ubuntu repository)に関しては、国内サーバーへ変更し、インストール・アップデート・アップグレードにかかる時間を短縮します。これはSynaptic→設定→リポジトリから。。続けてシステムアップデート・アップグレード処理を行います。
us.archive.ubuntu.com→jp.archive.ubuntu.comへ変更 |
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OKボタンを押下(repository updateの実行) |
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”全てアップグレード”を押下 |
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”マーク”ボタンを押下 |
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”適用”ボタンを押下 |
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”Apply”ボタンを押下 |
4.日本語化残処理
日本語指定でのインストールが完了すれば、ロケールの設定や、日本語input methodのインストール&設定が完了するタイプではありません。このため日本語化残処理が必要となります。
1)言語サポートを使用した日本語化ファイルセットのインストール&設定
コントロールメニュー→設定→言語→言語サポートを起動します。
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”言語のインストールと削除”ボタンを押下 |
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"日本語"を選択し、”言語パッケージのインストール”を押下します |
次にChinese、China及び、Chinese, Singaporeの言語パッケージがデフォルトで全てインストールされていますがこれらは不要ですので削除してしまいます。
以上の処理が終了したら”閉じる”ボタンを押して”言語”に戻ります。
上記のスクリーンショットのシステムロケールの箇所を見るとRegionとTime formatにロケールが設定されていない状態となっていますのでシステムロケールの右横にある”システム全体に適用”ボタンを押下します。これで上記状態は収拾し、ロケール周りの残処理は完了します。
2)日本語input methodのインストール
日本語input methodに関しては、残念ながら上記処理でインストールされません。このためターミナルから、sudo apt install fcitx-mozc を投入してfcitx-mozcを依存関係と共にインストールします。
この後、logout/loginでfcitx-mozcによる日本語入力が可能となります。
3)Seamonkey 2.49.5の日本語化
LXLEでは、Thunderbird、Firefoxはpre-installの対象となっておらず、これらの機能はSeamonkey 2.49.5によって提供されますが、残念ながらこれは日本語化されません。
このためこの箇所は手動で日本語化します(これには、若干コツがいります)。
①Seamonkey 2.49.5の日本語化パッケージのインストール
Seamonkeyのアドレス入力欄に以下を投入します。
https://archive.mozilla.org/pub/seamonkey/releases/2.49.5/langpacks/linux-i686/
するとSemonaky 2.49.5の言語パッケージ一覧が表示されます。
上記一覧の中で”seamonkey-2.49.5.ja.langpack.xpiをダブルクリックします。すると、以下スクリーンショットのようにSeamonkeyの日本語化パッケージのインストールを促すメッセージが表示されますので”install software"ボタンを押下します。
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"Install Now"ボタンを押下 |
②Webページの言語設定
次にWebページの言語設定を行います(Japanese [ja]を追加し優先順位としてトップに移動します)。これは、Seamonkeyのメニュー→Edit→Preferencesから
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最後に、"Fallback Text Encoding"を"Japanese"に設定します。
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上記処理終了後、Seamonkeyを一旦終了し、再度起動すれば日本語化が完了するはずですが、
これがうまくいきません。このため、Tools→Add on Managerから"Simple Locale Switcher"をインストールし、これを使用して強制的にJapanese(日本語)に変更します。流れは以下の通り。。
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これでSeamonkeyを再起動すれば、Seamonkey 2.45.9の日本語化が完了します。
5.評価
軽快性:S、安定性:A、初期設定&日本語化残処理の平易性:C、機能性:A
となります。出来上がった環境は◎ですが、特にSeamonkeyの日本語化を含めた日本語化残処理はかなり難易度が高くなっています。標準的なUbuntu系の言語サポートをLXLEが使用していない事がその原因なんですけど。。
今までのLXLEのこれら処理と比べても、難易度が上がっているため、これらの処理の平易化が今後望まれる・・といった所でしょう。。また、libreoffice等のpre-installアプリをあえて外した所は、ユーザの使い勝手という観点で賛否両論となるかと思います。
ただし、これをさっぴいたとしても、軽量・軽快性はダントツであり、テキストベース天気予報や、100枚に及ぶ壁紙、ビデオ編集機能等魅力ある環境に仕上がっている事は間違いありません。
軽さと豊富な機能性が同居したLXLEが、今後どのように変貌を遂げるのか、Ubuntu 20.04 LTSベースとなった際の更なるジャンプアップに期待したい所です。
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